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9月2日353日目「その場所、北の果て。」抜海ー猿払

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北海道を旅する、としてどういうコースを辿るのか?別に海沿いの道を走ってきっちり一周しようとも思っていない。行きたい所あれば、あそこがイイよと聞けばそちらへ向かう。全ては風と心のゆくままだ。そんな僕でもここには行かないと、という場所が一つあった。なぜならその場所は旅人達にとって「聖地」といえる場所だから。

8月27日、札幌を出発した時からその場所への旅が始まった。この日は札幌を夕方前に出たので20kmほど先の石狩で走りを終えることにした。石狩にもライダーハウスがある。しかもここのライダーハウスは無料だ。もう宿というかは小屋です。イイんです。普段テント張って寝てる者達からすれば雨風をしのげるだけでどれだけ有り難いか。高級ホテルに匹敵する(しないよ笑)喜びさえ感じる。この日は僕以外に3人の旅人達がいた。周りは何もない海辺なので、外で長イモと長ネギとベーコンのスープを作り、夕食にした。旅人達と談笑しながら、ギターで「いい日旅立ち」なんか歌ってみたり。

8月28日、石狩を出発した僕はさらに北へ。この日は110km先の留萌という街を目指していた、ここにも無料のライダーハウスがあるからだ。今日走っている日本海沿いの道は北の最果ての街、稚内まで続き、その道は「オロロンライン」と呼ばれている。「ああ、これが北海道の道や。」と思えるまっすぐ伸びる道が続いた。そんな道も最初こそ感動してもずっと続くとだんだんと距離が長いこと自体に萎えてくる。留萌まで残り40km、30km、そして20kmときた。夕日を左頬に浴びながら、最後の力を振り絞りなんとか留萌のライダーハウスにたどり着いた。留萌のライダーハウスは無料にもかかわらず、広い施設で1階がガレージや台所、談話室。2階がザコ寝部屋。地域のボランティアや、旅人達の自主的な掃除やカンパで成り立っている。来た瞬間、この場所を気に入ってしまった。8月も終わりに近いのにまだ旅人はたくさんいて、大阪人としてお好み焼きを大量に作って他の人達の料理もつっつきながら宴会。翌日から連泊者達とパークゴルフや釣りに行ったりして、結局留萌には3泊もした。

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8月31日、留萌を出発。雨の予報は外れてこの日は終日イイ天気だった。羽幌のキャンプ場で泊まることにした。北海道には格安のライダーハウス以外にも無料もしくは格安のキャンプ場がたくさんあって、昔から北海道は旅がしやすい環境が整っているのである。本州にもせめて500円くらいで泊まれるキャンプ場がもっとたくさんあれば(山奥とかじゃなく出来れば平地に)旅がしやすいのだけどといつも思う。その羽幌のキャンプ場、この日は僕以外にキャンパーはいないようで少しさみしい気がした。看板に「照明のいる方はご連絡下さい」と電話番号が書いてあったので、電話をかけてみると管理人の奥さんが出て、「7時くらいになったらつくと思いますよ。」と言った。それからしばらくして、キャンプ場に一台の車がやって来た。降りてきたのは先程電話を受けてくれた奥さんと管理人の旦那さんのご夫婦だった。キャンプ場の照明をつけて下さり、畑でとれたミニトマトやホタテの燻製などをいただいたり、とても親切にしていただいた。一人でさみしかったけど、お陰でとても温かい気持ちになれた。ご夫婦が帰ってから僕は米を炊き、セイコーマートで買ったハヤシライスのレトルトとゆで卵をのっけて夕食にした。食後、珈琲を飲みながら、虫達のチロチロという鳴き声だけが聴こえてくるだけの静謐なる世界に、心が透明に澄んでいく心地がした。

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9月1日、この日は北の最果ての街、稚内を目指すことにした。ただし、羽幌から稚内までは130kmあるみたいだった。僕はよく走った日でも80km、石狩から留萌までが110kmこいだのが過去最高記録だった。その時でさえヘロヘロやったのにまだ20kmも多いのに、アンタ何も考えてないやろ、ハイ考えてません(笑)まあ無理だったら早々とあきらめてキャンプ場でも見つけたらいいのですが、この区間にはある問題がある。それは稚内までのラスト60kmの間、ほとんど集落がない原野の中を走る道がある。その道、道道106号線、オロロンラインのまさにクライマックスともいえる旅人には憧れの道でもある。途中キャンプ場もライダーハウスもない。北海道には大きなクマさんがいてますからね、あまりヘタな所ではキャンプはできないのである。なのでラスト60kmが始まる天塩という街から、その日のうちに北へ進むか進まないかは自転車にとっては大変重要な選択を迫られるのである。

そして僕は天塩に着いた。午後ちょうど3時になった所だった。僕は「頑張ったらいける」と踏んだ。今思えばやめとけば良かったと思う。

その道はやはり圧巻だった。道はまっすぐと伸びて、そのラインの消失点は地平線のかなたまで続いているようだった。左を見れば海、右を見れば原野が広がり、その終わりは計りしれない。風が強く、砂埃が立ち、道はソフトフォーカスを帯びたようにもやけていて、まるで幻の中の道を走っている心地がした。

とにかく走った。日はだんだんと1日の仕事を締めくくるかごとく、着実に西の方へと傾き出していた。西の海側には洋上富士と呼ばれる利尻島がシルエットとなり浮かんでいる。時間がたつと日はちょうど利尻島の頂点の上に差し掛かり、なんともドラマチックな風景だ。しかしそんな風景にうつつを抜かしている余裕はあるはずもなかった。日没まであと1時間もあるかという時点で稚内まで、まだ30kmほどあったからだ。まだ気持ちも体も走れるのに。そんな思いもむなしく日は沈み、ゆっくりと夜が降りようとしていた。

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そんな折、道の向こうに集落が現れた。まだ稚内に着いたわけではないだろうが、北海道の道は基本的に集落の間には街灯がないし、夜はクマなどの野生動物に遭遇する危険もあるので無理せずここで走りを終えることにした。稚内まであと17kmというところだった、う~ん悔しい。その集落は抜海(ばっかい)という名前だった。稚内まで集落はないと思っていたので、ある意味助かった。ほとんど暗くなった状態でたどり着いたので、街の感じもいまひとつ分からず、少し街中を自転車で走ってみたが、なにかお店がやっている感じもなく、トラックなどが時折通る以外はひっそりとしていた。手持ちの食料を食べて、テントを張ってこの日が終了。

9月2日、抜海を出発した。抜海を出たあとはやはり何もない道で、昨日無理しなくて良かったと思う。数kmこいだ所で分かれ道、僕は左へ曲がり「ノシャップ岬」の方角へ進んだ。この辺りから民家が立ち並ぶようになってきた。すると道の前方にちょっと不思議な光景が見えてきた。それはエゾジカの群れだった、5、6匹はいるよう。奈良公園で見慣れたシカと違ってその体は大きく悠々とした雰囲気があった。こちらをじっと見ていたとか思うと、突然ピョーン、ピョーンと横の草むらへ飛んで逃げていった。何か幻を見たような心地がしてしばらくあっけにとられていた。

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ほどなくしてノシャップ岬まで来た。今日も利尻島がキレイに見える。この辺りは観光地で久々に人がたくさんいてる様子を見た。そして昨日たどり着けなかった稚内にやって来た。でも今日はここで終わりじゃないんですよ。いよいよ、これから旅人の「聖地」へと向かう時が来たのです。

夏の北海道は本当に旅人が多く、バイクや自転車で旅している人、いやたまに徒歩の人もいる、旅人とすれ違えば手をあげて挨拶をする(安全走行のため余裕のある時だけですが)。言葉を交わさなくても、同じ意志を抱いたもの同士、手を挙げるその一瞬、心は通じあう。その場所へは20kmほどの道のりであった。もはやこの道は「巡礼道」ともいえるほど、多くの旅人とすれ違う。

そしてついに、その場所が前方に見えてきた。胸が高鳴る。着いた!!その場所、日本の北の果て「宗谷岬」。

岬は多くの旅人や観光客で賑わっていた。何人かの旅人達とも仲良くなり、写真なぞ撮ったりした。しかし感慨深い、10カ月ほど前にたどり着いた鹿児島の佐多岬からやっとここまでたどり着くことができた。ちなみに奇しくも、この日は前の仕事をやめてちょうど1年たった日であった、どんどん世間と離れていくわ(笑)

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この日は宗谷岬からオホーツク海沿いを東へ走り、猿払(さるふつ)の道の駅にあるキャンプ場で1泊した。

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Author:アマガエル♪
自転車に乗って、旅して、撮る。

自称「自転車カメラニスト」のアマガエルです。

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