FC2ブログ

10月25日 41日目 「たぶん幻でした。」 あえて場所は書かない。

1大阪ー鹿児島 (74)

この日は走り出しから雨だった。レインコートに身を包んで走っていた。ちなみに靴のレインコートなんか持ってないので、コンビニのビニール袋を足の付け根でしばって雨よけにしていたが、すぐに破れて結局靴はグッショリしていた。
だんだん雨の量がハンパなくなってきた。もうここまでくると我慢大会をしているようで、だんだん走ってることに疑問を感じてきた。たまたまあった駅の屋根の下で地図を開いた。15km先くらいにゲストハウスがあるようだ。
ゲストハウスというのは簡単に言うと僕のようなボンビー旅行者が多く利用する安宿のことだ。相部屋が基本で、1泊平均2000円くらいの所が多い。本州には数は多くないがチラホラと点在する。
さっそくそのゲストハウスに電話をかけて、今から向かうことを伝えた。

ゲストハウスに向けて走り出した。強い雨に加えて風もすごいことになってきた。目の前の雨の壁が斜めにうねっているようだった。もういよいよ自転車をこぐのが嫌になってきた。民家?と思われるガレージがあいていたので、とりあえずそこで雨宿りした。道も分からない所があるのでもう一度ゲストハウスに電話しようと携帯電話を取り出すと、なんと液晶が水で半壊していた。かろうじてボタンは動作して、電話をかけるも、通話機能も壊れかけていて、会話の途中で切れてしまった。民家と思っていた家は実は公民館で、いよいよゲストハウスと連絡する手段が無くなった。外は相変わらず雨風が強い。
「どうしようもないな。」正直携帯がつぶれた時少し不安になった、駄目やなーこの現代っ子め(笑)

しばらくしてのことだった。ガレージの前を一台の車が通りすぎたかと思うと、その先でとまり、男性がこちらに歩いてきた。なんとゲストハウスのオーナーさんで、心配して車で探しにきてくれてようなのだ。た、助かった。自転車はその場に置いておき、オーナーさんの車で街に昼ご飯を食べにいった。またガレージの所まで戻ったころには雨風はマシになり、道も教えてもらったのでそこからゲストハウスまで自力で向かうこととなった。

道は沿道にずっと植わってるヤシの木の樹皮が散乱しまくっていた。程なくして、ゲストハウスに無事たどりつくことが出来た。ゲストハウスは普通の民家をそのまま宿にしたような所だった。

宿にはお手伝いの女の子も一人いた。オーナーさんは簡単に宿の説明をすると、「僕はこれから親戚のお見舞いに行かないといけないので、あとのことはそこの女の子に聞いてね。」と言って宿を出ていった。宿には僕とその女の子2人だけの状況になり、不思議な感じがした。普段の暮らしではありえない旅先ならではの不思議な空気感、外の雨を壁で隔てていたことがよりいっそうそう思わせたのかもしれない。女の子と2人きりといって別に何するというわけでもないが、少したわいもない話をしていると、オーナーさんもマイペースだけど、この女の子も相当マイペースな感じだ。
ところで普通ゲストハウスで食事が出ることはないが、その女の子が自分の夕食を作るついでに僕の分も一緒に作ってくれたのをいただいた。具沢山の汁ものが出たのを何となく覚えている。畳に布団を引いてこの日は寝た。

次の日の朝、起きると少し頭が痛かった。雨に打たれすぎたのが原因かもしれない。外はまだ天気も良くないようで、心も萎えていたのでもう1泊することにした。
どうもこの所ずっと心の向きが下がり気味だ。空がずっと鉛色であるのも影響していると思うし、半分は訳も無くただ落ち込んでいるような感じだった。
頭痛がしてずっと布団にもぐりこんでいた。しばらくしてお手伝いの女の子がやってきてこう言った。
「この辺で明日お祭りやるんですけど、今日前夜祭で、私お祭りの実行委員してるんでちょっと行ってきますね。夜にはまた帰ってくるんで。」と言って、宿を出ていった。ちょっと待て、宿にはもうオレしかいてへんやん。宿に一人取り残された僕。まあイイやと思って、また布団にもぐる。

しばらく時間がたった。すると宿の前で突然声がした。出ていくと、どうやら宿泊希望者のようだった。でも宿の人はいない。奇跡的に復活をとげていた自分の携帯で、まだ宿に帰ってきていないオーナーさんに電話をかけた。すると、
「あーじゃあスイマセンが僕が説明したようにお客さん案内しといてもらえませんか?お金はどこどこの缶に入れてもらったら大丈夫です。」
うそー、まさかの店番(笑)そういうわけで新しく来たバイク乗りの男性を案内した。落ち着いた所でその男性と「宿の人のいない宿ってなんか変な感じですよね。」と話した。この状況を共有してくれる人が増えて少し嬉しい。

相変わらず頭は痛くて、夕方にはもう寝てしまった。そして夜が深まったころ、新たに訪問者がやってきた。
ガララ。「すいませーん。」やって来たのは若い家族連れ。寝起きで対応すると、「前夜祭に参加して、〇〇さん(お手伝いの女の子)にここで寝ればイイって言われて来ました。どこで寝たらイイですか?」と。女の子はいまだ帰ってこないし、何なんだもう(笑)布団はここで、この辺で寝て下さいと説明した。時計を見ると深夜1時すぎだった。

そして朝が来た。バイク乗りの男性は先に出発した。外はすっきり晴れているようで、頭痛も収まっていたので僕も出発することにした。オーナーさんと夜に帰ってくると言った女の子はまだ帰ってきていない。隣の部屋に行くと深夜に来た家族がグースカと眠りこけていた。少し目の覚めていた一人に、
「あの女の子と知り合いなんですよね?僕もう出発するんで後はよろしくお願いしますね。」と言って僕は宿を出た。

宿の外に出ると、山の少し上でさんさんと輝く朝日を受けて畑の草の朝露がまぶしく光っていた。これまでのうっそうとした天気はうそのように晴れ渡り、澄みきった山里の爽やかな空気の中佇んでいると、あのゲストハウスで過ごした時間がなんか幻のように思えてきた。
僕はまた走り出した。

ちなみにゲストハウスがこんな適当な所ばかりではありません。このゲストハウスも色んな状況が重なり、こんな対応になってしまったんだろうと思います。一応補足で。
スポンサーサイト



Pagination

Trackback

Trackback URL

http://kaerusound.blog.fc2.com/tb.php/12-fb2e8bbb

Comment

Post Your Comment

コメント登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

アマガエル♪

Author:アマガエル♪
自転車に乗って、旅して、撮る。

自称「自転車カメラニスト」のアマガエルです。

旅と日常を写真と、時々文章とともに綴ります。

◎カメラ
・OLYMPUS OM-1
・OLYMPUS E-5
・OLYMPUS E-620
・FUJIFILM NATURA NS
・VOIGTLANDER BESSA R2A
・SEAGULL 4A-107

◎自転車
・ARAYA RANDONNEUR RAN
・DAHON BOARDWALK

ご意見や、撮らせていただいた写真のデータちょうだいとかございましたらメールください。
goldhill_mino@yahoo.co.jp

カウンター