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6月27日286日目「すっとこどっこいな僕にも人は優しく」山形県鶴岡―新庄市

山口ー青森 (69)

山形県に入ったころ、とある人物からメールが届いた。その人物とは、2カ月ちょっと前の4月、僕が鹿児島の阿久根ライダーハウスでお手伝いしていた時に、宿泊に来た東京のライダー青年のI君だ。出会ったその日に仲良くなり、彼が出発してからもちょくちょくメールで連絡をとっていた。話は今に戻る。山形で受け取った彼からのメールは、
「今どこを走っていますか?」とあり、僕は「山形に入った所やで。」と返した。すると彼は、
「山形の新庄市は僕の故郷なんですよ、是非行って見てください!!(中略)あと今地元で仕事してます。」
と送ってきた。あれ?彼、東京に住んでいるって言ってなかったっけ?実家に帰って、新庄で仕事してるのか。しかし地図を開けば新庄市は海から内陸部の東へ60kmも離れていた。海沿いを北上していた僕にとってはけっこうな遠回りになるが、久々に会ってみたいし、友達が自分の故郷を訪れてくれたらきっと嬉しいんじゃないだろうかと思い、そのメールを受け取った翌日、僕は新庄市を目指すことにした。

僕は鶴岡市から東へと進んだ。田畑の真ん中をまっすぐ通る道の沿道には吹雪時に使用するであろう防風壁がズラっと並んでいて、ここが雪国であることを想像させる。この日も雨が降っていて、全身レインコートに身を包み、上に積んであるテントや銀マットにもゴミ袋でカバーする。

道は田畑の中の道から最上川沿いの国道47号線に入った。濃い緑の山々に囲まれて流れる最上川の景色は幽玄な趣があった。しかしこの時には雨足も強まり、国道47号線は道が狭い上、交通量も多く、とても景色を楽しむ余裕など一切無かった。スタートから2、30km走った所で川沿いに広いドライブインが現れ、ひとまず休憩することにした。最上川は観光地でもあるみたいで、このドライブインには雨だというのに観光バスがたくさん並んでいた。天気や季節が良ければ船で川下りでもするのであろうが、さすがにこの雨では出来ないだろう。

とりあえず目的地の半分までは来ただろう。僕はI君にメールを送った。
「今日は仕事ある?」
割とすぐにメールが返ってきた。そこには驚愕の内容が書かれていた。
「山形は小学3年生の時まで住んでいて、今は実家ごと引っ越して東京に住んでいますよ。仕事は休みです。」
えええ~~~~~~~~!!!(笑)ほんなら俺はI君もその家族もいない所にこの雨の中遠回りしてまで走ってきたってのか?勘違いしたのは僕の方だが、ややこしい説明をしたI君にも非はあると思う。メールの文面を見る限り、僕が勘違いをしてショックを受けていることなんてまったく気付いてないようだ。これからどうしようか考えたが、ここまで来たのでとりあえず新庄に向かってみることにした。しょうがないからI君の代わりに、新庄の街をレポートしてあげようと。ちなみに一人でショックを受けて笑っていた僕に、観光バスの運ちゃんが話しかけてくれて、お茶のペットボトルを2本いただいた、ありがとう(笑)

再び僕は国道47号線を走りだした。相変わらず雨は降っているし、道も狭いし、横を通る車も多く神経を使う。安全に気をつけながら走っていたが、路肩を走っていると舗装路に突然泥のぬかるみがたまっている場所が現れ、そのぬかるみに入ってしまった瞬間、自転車のタイヤはスリップして、自転車ごと体勢が左右にブレた。
「あ、こける。」
心の中で一瞬そう思った。

・・・がこけなかった。奇跡的に僕は体勢を持ち直し、こけることなく安定を取り戻したが、路肩から右の車が通るゾーンに飛び出していた。しかしここでも奇跡的に車は走っていなかった。もしこけていたら、こけてなくても車が来ていたらアウトだったかもしれない。僕はそれから少し走って、安全な所に自転車を停めて、雨の中その場に立ち尽くした。心臓はバクバクしていた。
「守ってもらえた。」僕は天を見上げ、感謝した。

それからしばらくして民家がチラホラと見るようになってきた。お腹が減っていたが、お店もあまりなく、そのまま走り続けると今日の目的地である新庄の街にたどり着いた。時計を見ると午後2時すぎだった。飯も食わずに60km走っちゃったな。まずご飯を食べよう。暖かい場所で暖かい味噌汁やご飯を食べたかった。定食屋のような所があれば良かったけど、街には食べ物屋さんも少なく結局コンビニのご飯になった。雨をやり過ごすわずかなスペースの地べたに座り、地元の人が前を往来して少し落ち着かない中、僕は中華丼となめこの味噌汁とアンパンを食べた。

それから僕は割と広い公園を見つけ、あまり大きくない東屋の屋根の下のベンチに座った、ハ~やっと座った。新庄の街に来てみたはイイものの、I君はいるわけもないし、観光でも出来ればイイけど、新庄はおそらくあまり観光地という感じも無かったし、小さな史跡くらいはあるかもしれないが、これ以上雨の中動き回りたくなかった。僕はI君に着いたよ、とメールを送った。するとこう返ってきた。
「街に〇〇食堂っていう馴染みの食堂があるんで行ってみて下さい!!」と。
こいつ俺がここまでどんだけ苦労して来たか全く知らんっちゅー感じやな。それでも僕は彼の期待に応えてあげようとした。近くを通りかかった地元の人に食堂の場所を聞いて、少し雨がマシになったころを見計らって屋根から出てその食堂へ向かった。少しややこしい場所だったので見つけるのに時間がかかったがその食堂の前に行くと、どうにも営業している気配がなかった。定休日?なのかもしれないし、もしかしたらとっくのまえに店をやめてしまったんじゃないかって雰囲気さえ感じた。I君の能天気に振り回された僕はこの時にはホント「あーーーもう!!!」という気分だった。

雨はまた強くなり、僕に冷たく降り注いだ。レインコートを着ているとはいえ、ほとんど1日中雨に当たっていたので体がゾクゾクしてきたことに気づいた。さっきの公園の屋根に戻る。幸い近くにパン屋さんがあったので3つほど買って屋根の下でむさぼり食べた。レインコートの中も濡れて、体は芯から冷えていた。濡れているものを着替えて、ありったけの服を着込んで早々と寝袋にくるまり、ベンチに横になって体温の回復を図った。体調に不安を感じて、なにか打ちひしがれた気分だった。僕はこの街に何をしにきたのだろう?時刻は夕方の5時だった。

夜が深まったころ、目が覚めた僕は体温が回復していることに気付き、寝袋の中で汗をかいていた。服を少し脱ぎ、また眠りにつく。心はさっきよりも落ち着いていた。

翌朝、雨は上がっていた。体調も良く、風邪を引いたりしていないようだ。よくあの状況から回復できた、心も少しサッパリしていた。地元のおじいちゃんが話しかけてくれたり、公園でやっているラジオ体操にも勝手に1番だけ参加してみたりしてから僕は新庄の街をそろそろ出発することにした。電車の踏切待ちで、横に停っていた車のお兄さんに声をかけられ応援された。その数分後、コンビニに立ち寄った僕を見つけて、さっきのお兄さんの車が駐車場に停り、
「君に渡したいものがあって。」
と、カロリーメイトなどが入ったビニール袋をいただいた。公園でしゃべったおじいちゃんも、出発前に立ち寄ったパン屋のオバチャンも、カロリーメイトをくれたお兄さんも、みんな優しい。昨日は「なんでこの街に来たんやろう?」って思ったけど、僕はこの街の人達の優しさをもらった。それだけで十分だと思った。I君、君の故郷に行ってきたで。新庄の人達はとても優しかったよ。

山口ー青森 (70)
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自転車に乗って、旅して、撮る。

自称「自転車カメラニスト」のアマガエルです。

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