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7月4日293日目「そうさ、俺は渡り鳥。」青森・津軽半島

山口ー青森 (79)

この日は色んなことがあって、毎日ノートにビッシリつけている日記はこの1日分だけで6ページ近くに達していた。(ちなみに1日平均3~4ページ)メインの話まで箇条書き。

朝、テントの中で目覚めた瞬間、足がむちゃくちゃかゆい。かきむしっても止まらない。じんましんっていうわけでもなさそうやし、虫さされやろか?だからといって蚊でもなさそう。結果を先に言っちゃうと、後日病院で診断されたのはやっぱり「虫さされ」。ただ先生もなんの虫かは分からないという、ええ?(笑)塗り薬と飲み薬を処方された。そのまた後日、僕の足を見た旅人が「これはダニだな。」と言った。最近、気温も高くなってきてサンダルで過ごすことが多く(自転車をこぐには足の保護の意味でサンダルはオススメしません)、草むらとかでかまれたのかもしれない。ってゆうか何で先生が分からなくて、旅人が分かるんや?(笑)ホントにダニやったかは分かりませんけど。

午前中、お腹が減って田舎の村の小さな商店に立ち寄った。店には可愛らしいおばあちゃんがいて、カップラーメンを買うと店の奥でお湯を入れてくれた。外でラーメンをすすっていると「これ食べなさい。」と、透明のプラスチックの容器に入っていたのはカブラの千枚漬けとトマトだった。甘すぎず酸っぱすぎずの千枚漬けに、よく冷えたみずみずしいトマトが、近頃野菜不足だった体にキュ~っとしみこんでいくのが分かった。「美味しい」って言葉は「美しい味」と書く。おばあちゃんがくれた千枚漬けとトマトはまさに「美しい味」だと思えた。おばあちゃんは店の奥の家から小学生のお孫さんを連れてきて、その男の子に「この人、日本一周してるんだって」と僕を紹介すると、男の子は「へえ~」と照れて笑った。「この辺寄ったらまた来てね。」おばあちゃんはそう言った。絶対寄りますよ!!

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標高230メートルあるという展望台まで登ってみた。僕は一人で山歩きは怖くてできないが、展望台までの道は完全に山道だった。しかも最初地元のおじさんと会ったきり人とは誰も会わないし、途中大きなヘビ(マムシだったかもしれない)に遭遇してビックリした。(むこうもビックリして逃げていった)そして展望台に着くと、展望台が老朽化で壊れていて景色はほとんど望めなかった。山を下って畑や民家が見えてきた時には心底ホッとした。生きてかえってきたよと(笑)ここだけで徒歩で10km近く歩いた。なにやっとんじゃ。

そしていよいよメインの話。今日の目的地は龍飛岬!!演歌の聖地、旅情の塊のような場所で僕はある「目的」を実行したかった。岬まで残り20kmとなった。時刻は午後4時だった、日が暮れるまでには着くだろう。しばらく行くと傾斜のきつい上り坂が現れた。しかもその上り坂は終わらない。何?こんなん知らんで(笑)俄然後悔したが、もうずいぶんきたのでそのまま登っていく。周囲はスケールの大きな山々がそびえていた。その山々は初夏の濃いグリーンに満ちていて、青森というのは「青い森」なんだと、勝手に一人で納得した。その山々をつづら折りの上り坂が延々と続く。途中山の斜面にサルの親子がたくさんいて、この道の感じといい、鹿児島の佐多岬を思い出した。そしてまるでツール・ド・フランスの山岳ステージのようだ(佐多岬でも同じこと考えてました笑)最初頑張ってこいで登っていたが、途中から自転車を下りて押して登って、ちょっと休憩してまた押してと繰り返していた。(ツールの選手は自転車おりたりしないって笑)

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そして看板が現れた。そこには「眺瞰台 2km」と書かれてあった。ちょうかんだい?何やそれ。まだ20kmもすすんだ気もしないので、そこが龍飛岬ではないことはなんとなく分かった。それから山の上の方に展望台らしきものが見えるようになった。そしてそこがこの上り坂の最高所なんじゃないかと思った。(後から分かったけど、下から最高所まで標高差およそ470メートルもあったらしい。知っていたら4時から絶対行かない。)2kmといってもまだ登りは続き、その道のりは長い。それでもなんとか展望台のふもとまでやって来た。眺瞰台への最後の道は、まるでおにぎり型の山をスラロームするように描いていた。最後のスラロームを登っている際、上から妙に視線のようなものを感じた。フと見上げると一眼レフを構えた男性がこちらにカメラを向けているように見えた。こんな時間に自転車で登ってきた酔狂な奴が来た、と話のネタにでもするのかもしれない、と想像した。ただ景色を撮っていただけかもしれないけど。もしそうだとしても人に笑われるのがイヤならこんな旅はしないし、なんぼでもネタにしてやってくれ!!って勝手に想像して一人で開き直る(笑)自意識過剰やな、女の子がこっち見てたら「オレのこと好きなんちゃう!?」とか思っちゃうタイプです(笑)

いよいよ展望台まであと少し!の所であたりが霧がかってきた。そしてついに展望台に到着した。カモン絶景!!意気揚々と展望台まで駆け寄ると・・・!!

霧で何にも見えね~~(笑)

しかしこの状況はまずいで。日はまだ暮れてなかったが、気温が下がってきて山の中は霧に包まれた。20メートル先は白くて見えない。さて、どうしようか。この展望台にはトイレもあるし、ビバーグ出来ないことはない。ただ手持ちの食料はカロリーメイトが1/2箱、小さなドーナツが一つ。あとは外で米を炊くにしても他に粉末のうどんスープくらいしかないな(笑)おまけにトイレの水は「飲めません」と書いてある。自動販売機も無い。龍飛岬までいけば道の駅がある。売店でもあれば何か買えるかもしれない。しかし岬までまだ8kmある。この先どんな道なのか分からない。しかもこの霧だ、安易に進んではかえって危険だ。どうする?あ、そういやさっきカメラを持っていた人がまだ駐車場にいてる。僕はその人が乗っている車に近づき声をかけ、岬までの道は登りか下りか聞いてみた。その若いお兄さんはおそらく地元の人だったのか、岬までほとんど下りだと教えてくれた。そうか、ほとんど下りか。僕は意を決して岬まで下ることにした。(霧の中の道を夕暮れ時に自転車で下ることは良策だったとは思わないのでマネしないで下さいね。無理のないツーリング計画をしましょう。)ところで道を教えてくれたお兄さんですが、もし僕の想像の通りだったら、「さっきの自転車男が、なんとオレに話かけてきてよ!!」と話を盛り上げるかもしれない(笑)なんぼでもネタにしてくれてかまわない、むしろ自分一人しかいなかったら心細かっただろうから感謝だ。

僕は岬に向けて走り出した。道は下りになった。登りのように時間はかからないが、前は霧で見えにくいし、路面も少し濡れていて、さらに幾多のカーブが続き、ブレーキをかけっぱなしで極力ゆっくりのスピードで集中力を高めて下っていった。さっきまでは夕暮れの朱みに包まれていたが、今は夜へと変わる青さに包まれていた。霧で視界も見えにくく、その青の世界には「生」の気配を感じず、恐怖を感じた。

そして僕は無事に道の駅にたどり着くことが出来た。道の駅は人気もなく、施設も開いている様子が無かった。それでも何か望みがないか、施設の周りを歩いていると、事務所のような場所に明かりがともっていた。中に職員の方がいらっしゃって、迷惑とは分かりつつ「スイマセン、売店などで土産物など売っていただけないでしょうか?」と言うと、
「もうすぐ売店の方が来られるので少し待っていただいたらいいですよ。」と言ってくれた。もうすでに売店は閉まっているはずなのに、今ごろ?とにかくラッキーだ。僕は施設の入口の前に座って売店の方を待っていた。霧の中の道は寒く、体は冷えていた。するとさっき対応してくれた男性の職員の方が「こんなのしかないですけど。」とお湯の入ったカップラーメンを持ってきてくれたのだ!予想外の親切に驚いたが、有り難く受け取った。冷たい手で包むように容器を持った。手にあたたかさがじんわりと伝わってきた、ただ容器が温かかったからだけではないと思う。胃の中にじんわりしみこんで、大げさかもしれないけど「生きてる」って感じた。この時のカップヌードルは本当に美味しかった。その後、売店のおばちゃんが来て、土産物のお菓子をいくつか買わせてもらった。おばちゃんもめちゃめちゃ優しくて、自分が食べるために持ってきたパンやお菓子を分けてくれたり、用事が終わるまで中の暖かい場所で休ませてもらった。その後僕は道の駅の近くにテントを張り、さっき買ったお菓子やおばちゃんにもらったものを食べて眠りについた。むちゃくちゃ人の世話になった1日だった。みなさん、本当にありがとうございました。


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翌日の朝、昨日の霧は嘘のように晴れ渡り、青い爽やかな空が広がっていた。岬はすぐ近くだった。土産物屋さんが並んでいる所を過ぎて、僕は階段で下の海辺まで下り、朝も早いので観光客もいないようだったから、いよいよある「目的」を実行する時が来たようだ。その計画は沖縄を出発する時から温めていたこと。僕は磯に立ち、ギターを掲げた。さあ、歌うで。海よ、鳥よ、自然よ、聴いて下さい、「津軽海峡冬景色」!!

山口ー青森 (81)

・・・ジャカジャカジャカジャンジャンジャンジャーン、ジャジャーン!!ああ、目的達成!!気持ち良かー。岬の上から見える景色は格別にキレイだった、今まで「岬」と呼ばれる場所で見た景色の中でダントツに龍飛岬は美しかった。そしてはるか海の向こうにボンヤリと大きな陸のようなものが見えた。まさか、あれはずっと夢見た北の大地、北海道!?胸は高鳴った。

山口ー青森 (84)

翌日、青森港から僕は船で海を渡り、北の大地へ向かった。

                 ―第3章 鹿児島―青森編 完―
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chinpike

猫と6ペンスにコメントありがとうございました。
月並みな表現で申し訳ありませんが、自転車日本一周には心踊ります。
自分の年令では無理と諦めてはいるものの、自宅からたまに100キロくらい走ったりもします。
自転車いいですよね。
でも、今はランニングが中心になっているのですが。

街並みの写真が素敵だと思いました。
好きな写真です。

また気が向いたら猫と6ペンスの写真も見てやってください。

アマガエル♪

コメントありがとうございます^^

100kmも走られるんですか。僕がこの旅で100km越えしたのはせいぜい2、3回ですね。だいたいいつも50~60kmくらいしか走らない(走れない)ので^^;

今は長期の旅には行けませんが、時々輪行して関西でツーリングしてます。

僕も写真は好きですが、最近は月並みな写真ばかりしか撮ってないので(それはそれで楽しいのですが)、たまにはテーマや面白い表現方法を見つけて撮ってみようかな、とchinpikeさんの写真見てると思います。また遊びにいきますね^^
  • URL
  • 2012/01/22 12:44
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プロフィール

アマガエル♪

Author:アマガエル♪
自転車に乗って、旅して、撮る。

自称「自転車カメラニスト」のアマガエルです。

旅と日常を写真と、時々文章とともに綴ります。

◎カメラ
・OLYMPUS OM-1
・OLYMPUS E-5
・OLYMPUS E-620
・FUJIFILM NATURA NS
・VOIGTLANDER BESSA R2A
・SEAGULL 4A-107

◎自転車
・ARAYA RANDONNEUR RAN
・DAHON BOARDWALK

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