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12月10日「旅の空、極まる。」静岡・伊豆半島西側

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12月8日伊豆半島4日目、僕は半島の最南端の岬、石廊崎に立つことができた。半島の右半分を攻略して、残りは左半分。高台にある岬から下の駐車場まで下ってきて、僕はそこの食堂で昼ご飯にする、「あおさ」と「ふのり」の入った醤油ラーメン、感想は「海草」って感じでした(そのまんま)、もちろん美味しかったです。店のおばちゃんが、「道はこれからがキツイんだよ」と言う。地図を見ても、石廊崎から境に道はグネグネを増していた。なぜ道がグネグネ曲がるのか。専門家やないからハッキリ言えませんけど、おそらく直進だと傾斜がキツイからグネグネさせているのやろう。地図上で道がグネグネしていたらまず峠のような険しい登り下りがあると見ていいかと思う。

さて西伊豆の旅、これよりスタート。おっとのっけから登り坂。ほほお、これはなかなか。ほほ、ほ・・・・・・・・。いや、これホンマきついな(笑)なんか一気にレベルが上がった感じ。しかも坂が続く範囲が今までに比べて長くなった。もうやめてくれと言っても坂は次から次へと現れる。腰が砕けそうだ、ギアがもうこれ以上軽くならない、もうさっきから視界のほとんどが黒いアスファルトだ。相当高い所まで登ってきたようで、ある所で視界は開け、向こうの山々と空だけが広がっていた、まるで天空の道を旅しているような心地だった。

幾度かアップダウンを繰り返し、とある温泉街に着いた所で日が暮れた。さて今夜の寝所を探さんと。砂浜があってテントを張るのに良さそうだと思ったけど、いかんせん看板に「キャンプ禁止」と書かれてある。うーんここがあかんとなると、さっき屋根とイスがあるバス停があったからそこで朝まで寝させてもらうか。いや、それはさておきご飯だ。さっきの砂浜は「キャンプ禁止」と一緒に「煮炊き禁止」と書かれてるので米も炊けない。しかしそこは田舎の温泉街だった。探しても食べ物屋さんはおろか商店さえも見つからない。うーん風呂はどうや、と探すと民宿で日帰り湯が出来る所を見つけて、入らせてもらうことになった。宿の女将さんに食料の売ってる店があるか聞くとやはりないようである。すると女将さんが、「今けんちん汁作ってるから風呂上がりに食べていきな。」と言って下さった、有り難い!!冷えた体が極楽の湯で蘇る、まるでかんぴょうになった気分だ(?)風呂から上がるとけんちん汁とご飯を出してくれた、ご飯もついてくるとは何たる幸せ。温かいけんちん汁、「五臓六腑に染み渡る」という言葉を今まさにかみしめている思いだった。さらにはお刺身も出していただきました。ちなみに入浴代しか払ってないんですよ、こんな親切を受けてイイのだろうか?食後、お茶を出していただき「テレビでも見てゆっくりしていきなさい。」と女将さん。外で寝るのが嫌というわけではないが、ここまでお世話になってしまい、少しでもここの売上に貢献させていただきたい。そんなことを思って、素泊まりだといくらか聞いてみた。3千円くらいなら泊まろうかと思っていた。しかし女将さんは言いにくそうに5千円だとおっしゃった。うーん5千円か、出せないことはないけどかなりキビシイ金額だ。申し訳ないけど今日は野宿を選ぼう。それから僕は立ち上がろうとはしたのですが、ちょうどお孫さんの女の子がロビーにやって来て、女将さんとお孫さんは奥へと行き、立ち上がるタイミング逃してしまった。そうこうしていると、宿泊客のおじさん3人がロビーへとやってきた。その方達が僕にしゃべりかけてきた。おじさん達は東北の方だそうだが、仕事であちこちに行き、伊豆に来る時はいつもこの宿を使うそうなのである。おじさん達はロビーのソファに座り、ウイスキーを飲み始めた。やがて僕にも勧めてくれ、「じゃあちょっとだけ・・・。」とお湯割りのグラスを受け取ってゆっくりと口に運ぶと、喉の奥がカーッと熱くなる。「う、うまい。」おじさん達が本当にイイ人達で、女将さんやお孫さんも交え、色々話が盛り上がった。さっきも言ったが、別に野宿が嫌というわけではない。少々寒いのを我慢すればイイだけのこと、いつものことだから何てことはない。いや、この辺り野生のサルがいてるらしいから、外で寝て夜這いでもされた日にはお嫁に行けない・・・なんて話はとりあえずおいといてだ。話が盛り上がってなかなか立ち上がるタイミングをつかめずにいた。何よりこの温かい空間がとても居心地が良かったのだ。ここを離れるのが寂しかった。この人達と同じ空間にいたいと思った。甘えようという考えはない、払うところはきっちり払う。でも布団じゃなくてそこの廊下でイイから宿泊料が安くならないか頼もうかと僕はタイミングを伺った。するとおじさんの一人が、
「で、どうすんだよこの子?泊めてあげんのか?」
と言った。女将さんは悩んだ顔で「泊めてあげたいけどうちも商売だからね。」と言った。
僕は、「お金は払います。でもその辺の床とかでけっこうなのでもう少し安くなりませんか?」と聞くと、女将さんは、
「いや、お金はイイんだよ。ただ今日寒いからね・・・。」少し間が空いて、
「そこの座敷で寝ていきな、お金はいいから。」
えええーーー。そんな嬉しいけど申し訳ない。申し訳ないけど嬉しすぎる!!でもやっぱり申し訳なくて申し訳なさすぎるけど(もう意味分からん笑)今回は甘えさせてもらうことになった。女将さんとおじさん達に本当に感謝だ。座敷に寝袋を敷いて、連日の疲れからか、一瞬のうちに眠りについた。

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翌日、伊豆半島5日目。立派な朝ごはんまでいただいた僕は、せめて何かお手伝いさせて欲しいと頼むと、テーブル拭きと風呂掃除を任された。ここは内湯と露天風呂があるのだが、露天風呂を掃除している際、急に上のトタン屋根でガツガツ!とすごい音がしたかと思って見ると、サルの群れだった。ほ、ほんまにおったんやな。やはり昨日外で寝ていたら夜這いされてそん時にゃあもうお嫁に・・・ってもうええっちゅうの。何度感謝の言葉を述べても足りないくらいにお世話になった民宿を出発する。本当にありがとうございました、次に伊豆に来る時は絶対ここで泊まりたい。

再び走り出した。今日は坂はそれほど凄いという感じでもなかったが、変わりに相当強い向かい風が行く手を阻んだ。坂道と向かい風が重なった時なんて、とてもペダルをこいで進めなかった。そんなこんな土肥という温泉街にたどり着き、本日の走りを終えることにした。さっそく寝所を探すが目星をつけていた場所が「キャンプ禁止」と書かれてあった、お前もかブルータス。他を探すがなかなかイイ所が見つからない。あてもなくさまよった末、腹減った、とコンビニで夕食を食べることにした、まあそれからでも何とかなる。コンビニの前に座り、カップラーメンやらをすすっていると、若い男性が、
「旅人ですか?」
と声をかけてくれた。僕より何歳か上のその男性、この辺りで働いているらしく、自分も旅が好きなので声をかけた、と。そして話の成り行きで男性の住んでいる社宅に泊めていただけることになった!わお!捨てる神あれば拾う神ありとはこのこと!(別に捨てられてはないけど笑)2日連続でこんな親切を受けるなんて本当に有り難い。何もなしでは申し訳ないのでビールを数本買って男性の社宅へと向かい、色々とお話させていただき、温かい夜を過ごさせてもらった、感謝。

そしてこの日、12月10日伊豆半島6日目。男性の社宅を出発、本当にありがとうございました。今日も坂道をヒーコラ登る。落葉樹の葉っぱはほとんど落ちてしまい、グネグネと曲がるワイディングロードの路面に木々のシルエットが冬の太陽を受けて映し出されていた。小さな展望台に立ち寄ると、山茶花が咲き誇り、海と一緒にキラキラと輝いていた。春はパステルカラーに彩られた植物たちの息吹を。夏は濃いグリーンに紺碧の空、白い入道雲、秋は全てが鮮やかに色づく1年で最も色にあふれた季節、でも冬にだって色はある、落ち着いたモノトーンの日もあれば、時折キリっと澄んだ青空を、朱く咲き誇る山茶花がある。だから自転車旅は年中楽しいのだ。(個人的には2度熱中症をやってる夏は走りたくないけど。)

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坂を下ると景色が開けた、そして驚いた。静かな湾の向こうにデデーンと富士山がそびえている。この光景なんか見たことある気が・・・と思うと、銭湯の壁画に書かれそうな感じだ、それのリアル版。ほどなく、戸田という港街に到着。昼食を済ませると出発。戸田まで来た所で、伊豆半島の旅もほとんど終盤戦にきていた。今日には沼津まで着きそうだ、沼津まで来ると半島を出たことになる。よっしゃ行くで!!

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しかし意気揚々と走り出した僕に「最後の敵」が立ちはだかった。戸田を出てすぐ、目の前にもの凄い傾斜の1本の坂が現れた。「ラ、ラスボス出現・・・」頭の中でFFⅦのボス戦の音楽が鳴る。乳母車を押していたおばあちゃんが「兄ちゃん自転車で頑張るねー。みかん持ってたらあげたのに。」サンキューおばあちゃん、その気持ちでお腹いっぱいよ。必死で坂にくらいつく。これは本当にすごい。最初のコーナーを曲がってもなおも坂は続く、続く、続く・・・立ち止まった。ありえないくらいに息切れしている、腰が砕けそう、何より胸が苦しすぎておかしい、酸素も体にまわりきれていない感じがした。立ったままハンドルにうつぶせになり、息を荒らげた、なかなか呼吸が落ち着かない。やっと進もうという気になったが、これ以上こいで進むと体の何かがはちきれそうな感じがして、これまで伊豆半島では苦しみながらも全てペダルをこいで登ってきたけど、この時ばかりは自転車を押して歩いて登ることにした、少し悔しいけどここで果てるわけにはいかない。そんな中、途中立ち寄った展望台からの風景がすごく心に響いたのだ。高台にあるその展望台からは午後の太陽の光を浴びた海と空が調和して、全てが真っ白に僕の前で輝いていた。旅の空はここに極まった。

幾度アップダウンを繰り返し、ある所から傾斜はゆるやかになってきた。暗くなってきたがライトをつけて、なおも自転車を走らせる。そして県道17号線は国道414号線に合流した。もうこの時点で伊豆半島をほぼ抜けたことになる。国道をさらに進み、ついに僕は沼津の街にたどり着いた。「着いたあああ・・・。やった!」ここに伊豆半島1周完了、3年越しのリベンジをついに果たしたのだ。

精魂尽きたので翌日は休息日にしました(笑)

青森ー大阪 (42)
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Author:アマガエル♪
自転車に乗って、旅して、撮る。

自称「自転車カメラニスト」のアマガエルです。

旅と日常を写真と、時々文章とともに綴ります。

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